大宇宙のリズムを写す、「6月と12月の神事」
古代の人は、年に2回の「大祓い」を行なっていました。お正月から6月末までの罪けがれは「夏越しの大祓い」できよめ、7月から年末までの罪けがれは「年越しの大祓い」できよめる…といった具合です。お正月から6月までの時期は、ちょうど冬至から夏至に向かう時期。だんだん日が長くなっていき、占いでも「陽遁(ようとん)の時期」といって、陽の気がどんどん増していく時期です。そして、夏至でもっとも陽が極まったあと…、7月から年末までの時期はどんどん日が短くなっていきます。占いでいえば「陰遁(いんとん)の時期」であり、陰の気がめぐりはじめるのです。そして、冬至で陰が極まり、そこからまた新たな「陽」が始まっていくのです。
このように、1年のうちで大きくわけて2つの時期があること…これは五行(ごぎょう)の法則であり、大宇宙のリズムでもあります。そして、わたしたち人問の体や霊的な活動にも、このリズムが大きく影響しています。古代の日本人はこの法則を体験的に知っていました。それで、リズムが変わる時期にそれまでたまった罪けがれを祓い、新たなリズムの始まりをむかえるための「大祓い」を行なうのです。このようにして、半年間積み上げてきた無形の罪けがれを祓う…。これが、古来からある「大祓い」の基本的な意味なのです。
大祓いは、生命力を蘇らせる神事!
では、大祓いでなぜ「けがれ」が祓えるのでし.ようか。
古代の人々は、みずみずしく生命力のある「気」が、だんだん枯れていくことが「気枯れ(けがれ)」=穢れと考えました。エネルギーや生命力、みなぎる力といった「気」が、時間が経つことによって年老いて、だんだん枯れていってしまう…これが日しんとう本の神道でいう「けがれ」なのです。これは、個人だけではありません。会社や、団体や、大きくは日本の経済や社会といったものも、同じように年をとると生命力を失っていきます。
ところが、気というのは「枯れっぱなし」ではありません。お祭りをすることによって、ご神気や生命力を補給して、また蘇らせることができるのです。
キリスト教は、専門的にいえば「歴史宗教」と言われます。時間はただずっと流れていくもの、決して後戻りしないもの、という考え方です。ところが神道はそうではありません。「時間もまた若返る、新しくなる」という考え方の「神話宗教」なのです。その一番の儀式がお正月です。年越しの大祓いを越えてお正月になったら、時間も新しくなる。人々も心機一転、生命力をいただいて、命が若返り蘇っていく。家の長が新年の朝に初めてくむ水を「若水(わかみず)」と言い、その水を飲むと新年の生命力を授かって、人や家々の命がよみがえるといわれています。すなわち、若返った「時間」の息吹をさずかる儀式なのです。これが、お正月というお祭りの意味です。物理的には、時問は過ぎていくばかりですが、気持ちや生命的には、時間もまた若返るのです。このように、すべてを若返らせる儀式が「お祭り」だといえるでしょう。これは、「日本型祭祀」の原則的な考え方です。
お正月という儀式によって、人間が蘇っていく…。わたしたちの行なっている「海原びらき」と「岩戸びらき」は、この命の蘇りのセレモニーそのものです。年に2度の大祓いは、けがれを祓うだけではなく、年をとった肉体、年をとった魂、年をとった自分というものが蘇っていく時でもあります。祓うことによって、けがれが消えて、ハレの状態になる……。参加した方も、人形.形代(ひとがた・かたしろ)を書かれた人も、日本の経済も、気が枯れてけがれになっているものが、このお祭りを通してハレの状態になっていき、エネルギーと生命力が蘇るのです。

